『百鬼園事件帖』三上 延

「君には世間一般の常識と異なる、君なりの秩序がある。それはある種の狂気だ。だからこそ、人とは違うものが書ける」 昭和初頭の東京で、偏屈教授の内田榮造先生(内田百閒)と大学生の甘木が遭遇する怪奇譚。 百閒の字が百間になっているのが気になってい…

『吉原花魁日記 光明に芽ぐむ日 (朝日文庫)』 森 光子

「もう泣くまい。悲しむまい。復讐の第一歩として、人知れず日記を書こう――書くことは、妾を清める」 大正13年、19歳で吉原郭に花魁として身売りした著者の日記。 装丁がこうの史代氏なのでアイキャッチもあり、暗い内容を重く見せずにやわらかい雰囲気。こ…

『子どものものさし』松田道雄

親愛なる街のお爺ちゃん先生が語る、昭和の回顧録と子育てへのエール 本書は平凡社のSTANDARDBOOKSシリーズ。このシリーズは装丁、判型ともにすっきりしていてデザインが特徴的で、本棚にあるとお洒落な印象。 著者は初代は千姫の侍医と伝わる医者の家系、街…